隣のキケンな王子様!
言ってから気付いたのか、郁己くんはベランダを見上げている。
「あ、もしかして取り込んでくれた? 洗濯物」
「うん。雨降ってきたから」
「マジで? さんきゅ。非常口使ったんだ?」
「うん」
「……指輪落としたって、オレのパンツが原因か。もしかして」
「カメレオンが顔を叩いてきたから叩き返してやったらどっちも落ちちゃった」
「……は?」
一瞬、変な顔をした郁己くんだったけど、何となく理解したらしい。
「とりあえず、戻るぞ、中に」
「……やだ。探す」
「後にしろって。ずぶ濡れだろ」
「やだっ」