隣のキケンな王子様!
『イクミー? いないのー?』
女の人の高い声がするけど、ドアが開く気配はない。
「お隣さん、留守なのかな? ……あ、そうだっ」
外の様子に耳をすましながら、急に思い出した。
そう言えば、この部屋に引っ越してきてから、まだ、お隣さんに挨拶してないんだった。
「イクミ……ってことは、女の人かな」
実はあたし、このアパートに越してきて、まだ4日目。
お隣さんに挨拶に行ったのは、3日前。
でも留守だったから、引き返して。
そのうち行こうと思いながら、すっかり忘れてた。
だから、お隣さんがどんな人なのか……まだ知らなくて。
「やっぱお隣さんには挨拶しておいたほうがいいよね。今日は……いないみたいだから、明日にでも行っとこっと」