隣のキケンな王子様!
「あれ? 停電か?」
郁己くんの、のん気な声が聞こえてくる。
「由梨ちゃ~ん? 大丈夫?」
「だ……だい、じょう……、きゃーっ!」
またまた大きな雷音。
シャワーを浴びている間は気づかなかったけど、雨音もさっきとは比べ物にならないほど大きくなっていた。
「怖い……」
一人暮らしを始めて、初めての雷雨。
暗がりも苦手だし、どうしたらいいのか分からない。
「由梨ちゃ~ん?」
「……う……うん?」
「バスタオル、巻いた?」
「……う……うん」
「そっち、見ていい?」
「……う……うん……あ、」
はっと気づいた時には、ぼんやりとした視界に長い足のシルエットが映っていた。