隣のキケンな王子様!
いつしかあたしは、郁己くんにうながされるようにして王子様との思い出話を語ってた。
困っているときにいつも助けに来てくれたこと、
雷の日の思い出、引っ越しの日、もらった指輪。
それがあたしのお守りになったこと。
だから、不幸にも耐えられること。
「ふーん。そんなことあったんだ」
黙って聞いていた郁己くんは、あたしの話が終わるとつぶやいた。
「だからバージンなんだ?」
「……」
「ずいぶん引きずってんだなぁ、初恋の王子様」
「だって。ホントに頼りになって優しくて……イイ子だったんだもん」
あの王子様にかなう人になんて、まだ出会ったことがない。