隣のキケンな王子様!
「それは……内緒」
「……ふーん」
雨音はまだ激しいけど、雷の音はだいぶ遠ざかった。
暗がりに目を凝らすと、クローゼットの扉がぼんやりと見える。
「あの……着替えてくるね?」
ちょっとだけ物の形が分かるようになったあたしは、ベッドから足をおろして、郁己くんに声をかけた。
――だけど。
返事の代わりに返ってきたのは、強いチカラ。
一瞬、何が起きたのか、よくわからなかったけど。
立ち上がろうとしていたあたしの体は、2本の腕に、絡め取られていた。