隣のキケンな王子様!


そのまま落ちてきた郁己くんの体温は、あたしの首筋に埋められた。



「……っ……」



あたしを押しつぶさないように。


だけど、しっかりと重なった胸と胸のあいだで、ふたりの心音が鳴り響いている。



……奥の方が、苦しくて。


息が、詰まりそうになる。



怖いはずなのに。


離れなきゃいけないって分かってるのに。



抵抗する声が出てこないのは、


まるで壊れ物を扱うように……あたしを包む、優しい両腕のせい。



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