隣のキケンな王子様!


「……そいつは?」



あたしに聞いているみたいだけど、視線は王子様に送られたままだ。



「誰?」


「あ……えっと、」


「やだなー、郁己。こんな時間にふたりきりで戻ってくるんだもん、彼氏に決まってるじゃんねー?」



その隣で、彼女が陽気に声を出す。



気づけば、郁己くんの視線はあたしに降りていた。


それがあまりにも真っ直ぐで、なんだか少し、痛い。


どうして……そんな目で見るの?


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