隣のキケンな王子様!
お礼を言うことも、謝ることもなかったくせに。
あたしの口は、代わりに最低な言葉を投げつけていた。
「……会わなければ良かった……か」
目の前で悲しそうな顔をしている人に、
湧き上がってくる感情を、そのまま浴びせかけることしか出来なかった。
「これ以上……惨めにさせないでよ」
郁己くんの心をどれだけ傷つけていたかなんて気づきもせずに、
ただ、自分の感情だけを吐き出していたんだ。