隣のキケンな王子様!
――ピンポーン……
大学を休んで2日目の夜、部屋のチャイムが鳴った。
重いカラダを起こして扉を開くと、
「由梨……大丈夫?」
あたしより悪いんじゃないかっていう顔色の亜矢子が立っていた。
「亜矢子……」
「ごめんね、急に来て。でも由梨、返事くれなかったから心配で……」
「……うん……ごめん」
休んでいるあいだ、亜矢子から何度かメールがあった。
留守電も入っていた。
でもあたしは、それに返事をすることもなく、ケータイを手元から遠ざけていた。
ケンカを引きずっていたからっていう理由が一番だったけど、
声を出すのも、指を動かすのも、面倒だったから。