隣のキケンな王子様!
「ちょっと、由梨。バリバリに割れた何かが散らばってるんだけど」
「え? 何かって?」
「なんだろ? あ、もしかしてこれかなぁ」
「??」
亜矢子の隣に行ってのぞいたベランダには、
「あ……」
派手に壊れた非常口用の衝立が散らばっていた。
「どーしたの、これ。まさかムシャクシャしたついでに破壊した?」
「まさか。あたしじゃないよ」
「じゃ、誰? あ、お隣さん?」
「うん……そうだと思う」
郁己くんがベランダから飛び込んで来たとき、そういえば何かが壊れる大きな音がしたんだ。
「蹴りつけたりしない限り、こうはならないよね」
「うん……」
「外す時間も惜しかったんだね。由梨のこと、早く助けてあげたくて」
「……」
「やっぱいいヤツじゃん、お隣さん。会わなければ良かったなんて、もったいない」
亜矢子の言葉に、胸の奥がぎゅっと痛んだ。