隣のキケンな王子様!


「それ、失くしたって言ってた指輪だよね? 例の、王子様の」


「うん……」



亜矢子もピンと来たんだろうか。


盛大に開いてしまっている非常口から、お隣のベランダをのぞき込んでいる。



「真っ暗だね」


「……2日前から、物音もしてないんだ」


「そなの?」


「うん……。帰ってないみたい」



まるで、引っ越しでもしてしまったかのように。



“もう来ないから。安心しろ”



その言葉を……実行したように。



< 323 / 458 >

この作品をシェア

pagetop