隣のキケンな王子様!
「それ、失くしたって言ってた指輪だよね? 例の、王子様の」
「うん……」
亜矢子もピンと来たんだろうか。
盛大に開いてしまっている非常口から、お隣のベランダをのぞき込んでいる。
「真っ暗だね」
「……2日前から、物音もしてないんだ」
「そなの?」
「うん……。帰ってないみたい」
まるで、引っ越しでもしてしまったかのように。
“もう来ないから。安心しろ”
その言葉を……実行したように。