隣のキケンな王子様!
でも、どうして? 郁己くん。
どうしてあたしのために、そこまでしてくれるの?
王子様の話だって、半分は呆れた調子で聞いてたのに。
“忘れろ”とか、言ったくせに。
……どうして?
「そっかぁ。あなたのだったのかー、それ」
ちょっと驚いたように、だけど穏やかな顔で、お姉さんはあたしをしげしげと見つめて言った。
そして、
「正確には、あたしのだけどね。いや、あたしのだったって言うのかな」
「……え?」