隣のキケンな王子様!


「だけどびっくりしたなー。その指輪が郁己の部屋にあった時は。


どーしたの、これ? って聞いたらさ、お隣だったあの時の子に再会したんだって。


指輪失くして相当落ち込んでるから、返してやるんだって。


やっと探し当てたわりには、浮かない顔してたけどね、あの子」




指輪をのせた手のひらが、小刻みに震えている。


驚きとか、嬉しさとか、そういう種類の感情からくるものじゃない。


興奮に近いけど、わくわくするものでもない。



とにかく、あたしは動揺していた。


郁己くんが……あの時のお隣さんだったことに。



< 339 / 458 >

この作品をシェア

pagetop