隣のキケンな王子様!
「だけどびっくりしたなー。その指輪が郁己の部屋にあった時は。
どーしたの、これ? って聞いたらさ、お隣だったあの時の子に再会したんだって。
指輪失くして相当落ち込んでるから、返してやるんだって。
やっと探し当てたわりには、浮かない顔してたけどね、あの子」
指輪をのせた手のひらが、小刻みに震えている。
驚きとか、嬉しさとか、そういう種類の感情からくるものじゃない。
興奮に近いけど、わくわくするものでもない。
とにかく、あたしは動揺していた。
郁己くんが……あの時のお隣さんだったことに。