隣のキケンな王子様!
“郁己くんは、王子様とは全然違う”
自分にとって都合の悪いところばかりに反応して、郁己くんの存在を完全否定したんだ。
あたしなんかより、郁己くんのほうがずっと……小さい頃から傷付いていたのに。
ホントに……最低だ、あたし。
“ちゃんと、今を生きろ”
それでも郁己くんは、あたしのことを、守ろうとしてくれたのに。
郁己くんが、あたしの言葉をどんな気持ちで聞いていたのか、
どんな思いで、あたしに接していたのか、
それを考えると、アパートに着くまで、流れる涙を止めることができなかった。