隣のキケンな王子様!


「話、って?」



ブロック塀に寄りかかった郁己くんは、あたしの手をそっと離してから腕組みをした。



「うん……あのね。その前に……、ありがとう」


「ん?」


「指輪、郁己くんが探して見つけてくれたんでしょ?」


「……大事なものなんだろ?」


「……うん……ホントにありがとう。でも、いつベランダに置いたの?」


「……部屋に戻る時に。とりあえず置いておけば気づくだろうって思って。ああ、そう言えば、衝立。壊してごめんな」



……そっか。


あの後、置いていってくれたんだ。



「……郁己くん」



謝るのは、あたしのほうだよ。



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