隣のキケンな王子様!
「ダラダラしてないでちっとは動けよ。友達とでも遊んでくればいいじゃん」
「この暑さじゃ何もする気になれないよ。亜矢子もデートに行っちゃってるし」
バイト先の彼氏と順調にいっている亜矢子は、本日は水族館デートらしい。
「いいなぁ。水族館。なんか涼しそうじゃない? 水いっぱいだし」
「なんだそれ」
扇風機を抱き直したあたしに苦笑した郁己くんは、
しばらくすると、イイことを思いついたように、ぱちんっと両手をたたいた。
「……出た」
基本、出不精で面倒くさがりのあたし。
郁己くんのこの合図が出ると、強引に連れ出されることが、しばしばある。
「よしっ、でかけるぞ」
……やっぱり。