隣のキケンな王子様!
本当のことを知ったあの夏。
あれから何度か、郁己くんとふたりで幼いころの話をすることもあって。
忘れたと思っていた出来事や、色や、景色が、
少しずつ……形を成してきた。
王子様にオルゴールをあげたことも、思い出したり。
だけど。
何となく、腑に落ちない部分もあった。
どこか、歯車がかみ合わないような、そんな。
あたしの好きだった王子様は、もう、この世にはいない。
なのに、何かが引っ掛かる。
郁己くんに、確かめてみたかったけど。
でも、聞かないままで1年が過ぎた。