隣のキケンな王子様!
「……え? 何?」
つられたあたしが見下ろすと、ベランダ同士を仕切っている衝立に手をかけたその人は。
――ぱこん。
「でっけー穴」
「……へ?」
驚いたことに……、衝立の下半分をいとも簡単に外してしまった。
「なに……それ……」
「穴だと思ったら、出入り口だわ」
あ然とするあたしに、男の人はくすくす笑いながら説明する。
「外れるんだよ、ここ。結構前から。で、非常口として使ってたわけ。オレが」
「……非常口? って?」
「いきなり誰かが来た時とか。何つーの? 面倒くさい相手が来た時とか?」
「面倒くさい、相手?」