隣のキケンな王子様!
「郁己くん、あたしね、」
「……うん?」
「思い出を抜きにしてもね、郁己くんとちゃんと向き合ってみようと思ったの。じゃなきゃ、郁己くんの気持ちにこたえられないって思って」
あたしの言葉に小さくうなずいた郁己くんは、
見守るようなオレンジ色に包まれて、柔らかい表情になっていた。
「最初はね、とんでもない人のお隣になっちゃったってがっかりした」
カルイし、チャラいし、言葉より先に……触ってくるし。
「でも、あたしのこと、いっぱい守ってくれた」
ひどいことを言って傷つけたのに。
現実はもちろん、思い出までも、守ってくれたよね。
「ありがとう、郁己くん」
あきれもしないで、懲りもしないで、
あたしを好きになってくれて……ありがとう。