隣のキケンな王子様!
奇襲攻撃に文句を言ってやろうと思ったのに、
「ほら、時間時間」
上手くかわされて。
「ああっ、ヤバいっ」
あたしもあたし。簡単にのせられて。
今度は慎重に、でも急いで階段を下ってから駆け出すと、
「バッグ、忘れんなよ~」
後方上部からのおせっかいな声。
「わかってますぅっ!」
目の前に転がってるんだもん、忘れるわけないでしょっ。
「もーっ、やだっ。暑いっ!」
バッグを拾い上げたあたしは、そのまま、振り向かないで駅へと走った。
上がった体温が、
なんだかすごく……恥ずかしかったから。