離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす

 ベッド脇に膝をついて顔を覗き込むと、起こさないように静かに額に手を当てた。気持ちよさげに、目尻が下がる。ほぅ、と唇から漏れた吐息に込み上げてくるものがあり、気づけば髪の中まで手を差し入れ撫でていた。

 触れたいというあまりにも直情的な欲求に、戸惑うよりも先に納得をした。自分はもうずっと前から、こんな風に彼女に触れていい権利が欲しかったのだ。

 それは、こんな風に意識の無い状態では決して手に入らないものだ。


『……最低だな。酔わせてどうしようってんだか』


 わざと酔わせた、それだけでも彼女の信頼を十分に裏切っている。するりと髪を絡ませた指先が、離れがたさを物語る。
 それでもどうにかベッドから離れ、再び部屋の明かりを消した。


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