離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
滝沢に「スマン」と手のジェスチャーで伝えてから、店の外に出る。その間に着信は途切れており、掛けなおした。
「麻耶? 今日はどうした」
『和くん……! ねえ聞いてよ……!』
涙混じりの声に、これは長くなりそうだと覚悟した。
麻耶が久しぶりに電話をかけてきた時は、懐かしさもあり話が弾んだ。結婚するのだというおめでたい報告だったから、尚更だ。
天真爛漫な性格はたまに空気の読めない面倒なところもあったが、そんなところも昔は可愛いと思っていた。感覚としては妹に近い。なんだかんだと懐かれて頼られれば、それなりに嬉しいものだった。
しかし、その最初の電話から徐々に回数が増え、結婚に対する不安や相手への不満がぽろぽろと零れるようになり、それからおかしくなった。
まさに、これぞマリッジブルーというやつか。そして、今回はいよいよおかしなことを言いだした。