離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
『和くん、一回会ってみてよ、それで本当に結婚してもいい人かどうか確認して欲しいの』
「何、ばかなことを言ってんだ……いくらなんでもそれは相手に失礼だろ」
親でも兄弟でもない、隣に住んでただけの幼馴染になんで審判されなければいけないのか。俺ならその瞬間、百年の恋も冷めそうだ。
どうもこれまでの話を聞いていると、相手の男は随分と淡泊な性格らしい。おそらくは、それが不満なのか不安なのか。
仕事が忙しく、無駄なことはしたくないタイプのようで。結婚式もささやかに身内だけの式になるそうだ。本当は写真だけにしないかと言われたのを、麻耶がどうしても式はしたいと言い、話し合いの末の折衷案。麻耶にはそれも不満なのかもしれない。なぜなら、毎回愚痴の中に結婚式に関するものもあるからだ。
「式、なあ」
どうにか麻耶をなだめて電話を切ったあと、ぼそっと呟きが漏れた。