離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
離婚予定日一カ月前

 ――結婚に夢も希望もまったくない。

 心の底からそう思っていたので、そういう部分は自然と可愛げのなさとかに反映されるものなのだと思う。
 男性経験はあまり多くないなりに、付き合ったことはある。けれどあまり情熱的にはなれなかった。

 当然、そんな可愛げのない私を、和也さんのような入れ食い状態の人が女として見るわけがない。
 そう思っていたのに、どうやら、そうではない、ようで。

 はっきりとした言葉は、私が逃げようとしたせいか言わなかったけれど、でもあれはもう、はっきり言われたようなものだと思う。

 あれを「勘違いだ」と言われたら私はそいつを訴えるよ!

 だけど、わからない。だって、滝沢さんから聞いたのに。


「……大事にしている幼馴染の女の子がいるって聞いたんですが?」


 聞いて解決することから、さっさと聞いてしまおう。
 ただ問題は、今の私と彼の状況だけれど。私は食後のコーヒーを入れている途中なのに、和也さんがなぜか一緒にキッチンまで来て、背後から抱きしめられている。

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