離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす

　コーヒーが出来上がるまで、この姿勢でいるつもりだろうか。


「ああ、滝沢から聞いたのか」
「はい、他に情報源はないですし」


　何か狼狽えたら後ろ暗いところがあるんだろうと推測できたけれど、彼はあっさりと認めた。


「家が隣だったんだ。半年前くらいに久しぶりに電話をかけてきて何事かと思ったら」
「はあ」


　何事かと思うくらいには、遠ざかっていた幼馴染ではあるらしい。どうして急に連絡が来たんだろう？
　その疑問も即解決した。


「結婚するって報告だった」
「ああ、そうなんですね」


　なんだ、聞いてみればなんでもないことだった。なんとなく滝沢さんの言い方が意味深に思えたから、てっきり……幼馴染であり恋愛対象として、和也さんが大事にしているということなのかと思っていた。私が勝手に、そんな印象をもってしまっていたみたいだ。