離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
「……もしかして、近ごろずっと帰りが早いのも?」
今日だって、私と同じ時間に退社して一緒にスーパーに買い物に行った。会社が安定して、無理して接待染みた付き合いを社長自らしなくても良くなったのかと思っていたけれど。
まさか、と上半身を振り向かせて後ろを睨むと、やっと腕が少し緩んでくれる。
「三年、いやその前からもう十年近く馬車馬のように働いてる。そろそろ自分を優先したっていい」
「呆れた……」
「ちゃんと仕事はしてる」
まさか、必要な仕事を蔑ろにはしてないだろう、そういう人ではないのはわかっているけれど。
ぽかんと見つめていると、和也さんの唇がふっと綻んで笑みを作る。とてもいたたまれない気持ちになって、ぱっと視線を外すと和也さんの腕を振りほどいた。
「もう、離してください。コーヒー淹れますから、あっちで待ってて!」
今度は、すんなりと解けてくれた。