離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす

　とりあえず彼女の主張はそのままにしておいた方が話しやすいと思ったので、そこは敢えて否定せずに会話の仕方を模索する。


「佐伯さん、結婚してから、ご主人とどう？」
「どうって……随分と曖昧な。……え！　あ、夜の話？」


　――夜の話。
　すぐにはピンとこなかった。佐伯さんがぽっと頬を染め、一拍置いてようやく意味に気づく。


「違う！」
「もう、まさかいずみさんからソッチの話を振られるなんて」
「だから違うって！　どうしてソッチの意味に捉えるの？」
「いや、今の聞き方だとそうとしか思えないって……そんな恥ずかしがること？　お互い人妻なんだし、アリですよ、そういう相談も」


　佐伯さんの勘違いは止まらない。


「でも、そういう相談だとあまり良いお答えはできないですねぇ。実は、旦那さん今単身赴任中で」
「えっ？」


　驚いて目を見開いた。結婚してまだ一年、まさかそんなことになっているとは思わなかった。