離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
「努力が常に実を結ぶとは限らない、そんな切ないことは世の中にあふれているってよくわかってるでしょー」
「……佐伯さん、大丈夫?」
一応聞き取れるけど、だんだんと呂律が回らなくなってきている。言ってることはちっとも間違っていないので、一応相槌を打ちながら話を聞いているがそろそろお開きにした方が良さそうだ。
「まあ、もし何か困ったことがあったらうちにおいでよー、旦那さんもいないしいつでも泊まりに来ていいよ。」
酔って真っ赤になった顔で笑いながら言ってくれた彼女に、安堵する。
「ありがとう」
何があっても、間違えても、退路を許されているような気がして。
酔った佐伯さんを家まで送り届けてから、タクシーで帰った。玄関を開けたところで、すぐにぱたぱたと急ぎ気味の足音を聞いて驚いて顔を上げる。
「おかえり」
「起きてらしたんですか」
佐伯さんを送ったりしていたら、結構時間がかかってしまった。だけど、飲みに行くことは連絡を入れておいたからそれほど心配はかけないだろうと思っていたのに。
ちなみに、前のように店まで来られては女同士の話が出来ないので場所は言わなかったのだが。