離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
「今日は素直で可愛いから、これで許しとく」
片方の頬を、大きな手が包み込む。驚いて目を見開くしか反応できずにいると、反対の頬に唇が触れた。柔らかく啄まれて、そこからジンと熱が広がる。
「風呂に入って、早く休め」
油断していた。ぽうっと頭が逆上せたようになって見上げる私を、和也さんがくすりと笑う。頬の手が肌を撫でながら離れると、彼はそのまま寝室へと入って行った。
……最近、接触が多いからそれなりに慣れてきたつもりでいたけれど。
予定日よりも先を意識しはじめた今となっては、とても心臓に悪い。あの人が、私の夫か。旦那様ってことか。
「……は、はずかしい」
熱くなった頬を抑え、よろめきながら自室のドアをあける。なんでああいうことを照れもせずにできるんだろう、あの人は。経験値が違いすぎるのか。あの人がモテるのがよくわかる気がする。だって顔が良い上にあんな優しい笑顔を向けられてあんな甘い声で言われたら、そりゃ誰だって夢中になるわ。
本当、心臓に悪い。
呻きながら胸を押さえて、ベッドの上に座り込んだのだった。