離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
「日本酒が合いそうだな」
にこにこと和也さんはご機嫌のご様子だ。
「今日はビールしかないですよ」
「じゃあ次は日本酒を用意しよう」
「はいはい、また作ります」
次、という言葉を少しずつ違和感なく受け止め初めている自分を知られることも照れくさい。が、そこを敢えて指摘しないでいてくれている。
……にやにやと嬉しそうに笑うので、顔面で指摘されているようなものだけど。
「何を笑ってるんですか」
「次が楽しみだと思っただけだ」
「もう、後は弱火で煮込むだけですから。離してください」
お玉から手を離し、軽く腕を振り上げながら顔を振り向かせると、和也さんも私の顔を覗き込もうとしていたところだったようで。
至近距離で目が合う。鼻先が触れていた。