離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
どちらにせよ、感情だけで流されるには、私は少々頭でっかちにできているらしい。約束した予定日までに、自分の気持ちと変化することの不安とを天秤にかけていく。
ようは、覚悟の問題なのだ。
「……約束の日に、話します」
「本当に?」
多分、きっとそうなるだろう。こんな風に寄り添われて暮らす日々を知ったら、なかったことにはもう出来ない気はしていた。着々と和也さんの思惑に嵌っているような気がするが、こくりと頷くとまた抱きしめる腕が強くなる。
「もう、離して。おかずもう一品作りますから」
「んー……あと少し」
「でも、電話鳴ってますよ、ほら」
ちょうどタイムリーに着信を知らせて光り始めた、ダイニングテーブルに置きっぱなしの彼のスマートフォンを指さした。
「ああ、ほんとだ」
彼は嫌そうにため息を一つ落とす。それが本当に面倒そうで、思わず笑った。確かにこの頃、電話応対が多いようだけれど。離れがたいとでもいうように私の髪にはキスを落とし、それでやっと離れていった。