離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす

「最初は懐かしいと思っていた麻耶からの連絡も、段々何を考えているのかわからなくなってきていた。結婚が不安だと言うから電話で話を聞いていたんだが……会ってない期間が長すぎて、今の麻耶がどんな女性なのかもまったく知らない。婚約者に会って欲しいとまで言われて断った。強硬手段に出られたのが土曜だ。いい機会だからその婚約者と会って言い含めた。それで解決するはずだった。まさか、会社まで会いに来るとは思わなくて」


 和也さんの説明を聞きながら、自分の感情が爆発した出来事の経緯に多少の納得は出来るような気はしてくる。だけど、感情は『そうじゃない』のだと訴えてくるようで、少しも気が収まらない。

 こんなに、こんなに自分は、感情の制御が効かない人間だっただろうか。


「……和也さんが、面倒見のいい性格なのはよく理解しています」


 感情を抑えて、理路整然と。そう思えば思うほど、わからなくなる。自分が本当に言いたいのは、なんだろう。


「そんなあなたを、尊敬もしていますっ……」


 だけど。でも。やっぱり。続くのは否定的な言葉に繋がりそうなものばかりで、声が詰まってそこから先がでなくなる。


「いずみ」
「でもっ……」


 苦しい。そこから先が出ない。言っていいことなのか悪いことなのか、まだ頭のどこかで理性が働いているからかもしれない。だけど、もう堰き止めきれないくらい、溢れそうでもある。
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