離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
口を開いては閉じて、を繰り返す。じっと見おろす和也さんが、眉尻を下げた表情になる。
「言って欲しい」
下唇を噛みしめて、和也さんを見上げた。
「不安にさせたくなかった。でも不安にさせた。すまない。その、溜め込んでることを言って欲しい。何が嫌か、何が不安か、全部聞きたい」
早口で畳みかけるような口調は、彼もまた焦っているのだろう。これが、決壊の最後のきっかけになった。
ぎゅっと胸の前で手を握る。俯いて彼の靴の先を見ながら、ぽろりとまずひとつ。
「……なんで隠すの? まるで疚しいことがあるみたい」
「隠したつもりはなかった、でも、ごめん」
「大体、幼馴染って……マリッジブルーだからってそこまで面倒見るものなの?」
嫌味な言葉を、嫌味な口調でぽろぽろと零してしまう。そんなつもりじゃないのに、正当な理由のように思えていたのに、口に出したらただの我儘のような気がしてくる。
でももう、一度溢れたら止まらない。