離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす

「……なんですか。もうわかってるんでしょう、嫉妬です」


 ため息を吐くように、弱った声が出てしまった。
 恥ずかしい。情けない。だけど、正当な主張だと心の奥が叫んでいる。でも嫉妬していることには違いない。


「醜い嫉妬です。尊敬してますなんて言いながら、あなたが大事にしている幼馴染がいるだけで許せないくらい苦しい。綺麗ごとじゃない、こんな感情があるなんて知らなかった」


 全部全部さらけ出してしまった。怖くて見られないけれど、息を飲んだ様子はきっと驚いたんだろう。私の、こんな部分を見せられて。

 それなのに、和也さんの手は相変わらず優しい。多分、きっと、それでも彼は、許してくれるような気はした。だけど……。

 思い切って顔を上げた。彼は、やっぱり困ったような表情で、なぜか感極まったように声を詰まらせていた。


「こんな風に変わるのは、私は嫌です。誰にも見られたくなかった」


 きっとこんな感情はこれから先もついてまわる。何せ彼は、相手なんて選び放題で。放っておいたら、いくらでも女の人が寄ってくるような人なのだから。だったら、私は当初の予定どおりひとりでいる方がいい。

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