離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
「やっぱり、予定は予定通りにいくべきです」
そう言うと、彼ははっと目を見開いて私の肩を掴む手に力を籠める。だけど、私は思いっきりその手を払いのけた。それから急いで数歩後ずさって距離を取る。
「しばらく帰りません。子供ではないのでどうとでもなりますので、ご心配なく」
「待てって! 話をしたい。そう言う度に、いつもいずみは逃げ腰になる。俺は……」
「約束の日に話します。予定どおりです」
感情塗れの声から、元の落ち着いた声に戻せた。やっぱり私はこうでなくちゃいけない。和也さんは目を見開いて、だけど私の頑なな態度に言葉を詰まらせる。何を言っても通じないと思ったのだろう。その隙に、私は和也さんに背を向ける。
もう何も聞きたくないと、声を振り切るようにしてタクシーに飛び乗ったのだった。