離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす

 一週間、とことんプライベートな会話は避け続けるつもりでいた。ところが三日後、あっさりと執務室で捕まってしまうのだけど。
 和也さんは、一生懸命説明しようとしてくれた。謝ろうとしてくれていた。だけど、そういうことじゃないのだと、私は言った。
 

「冷たい態度を、取ってしまった……」
「結構めんどくさいよね、いずみさんって。後悔するくらいなら、話を聞いてあげたらよかったのに」


 今夜も佐伯さんの家に泊めてもらう。さすがに何日もだと申し訳なくなってくるが、彼女はビジネスホテルに行くくらいならいればいいと言ってくれた。


『いずみの意思を尊重する』


 そう言ったときの和也さんの寂しそうな目が、忘れられない。本当にこれで良かったのだろうか、と気持ちが揺れる。


「自己完結は良くないよー」


 佐伯さんは一貫して、早く帰ってちゃんと話をするべきだと言う。とことんまで話し合うべきだと言う。
 しかし、それが変わったのがこの話をした翌日の夜だった。

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