離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
部屋に戻って、買い物をしてきた中身を全部片づけ終わると、突然私は和也さんに確保された。リビングのソファで、なぜか和也さんの膝に横座りさせられている。
何せ、抱きしめた状態で離してくれないので。
「……あの」
恥ずかしいのはもちろんだけど、それよりも困惑が先に来る。
「書置きしなかったのはごめんなさい。でも、すぐに帰る予定だったので……」
そう言うと、目の前で項垂れていた和也さんが顔を上げた。その表情が、ちょっとあまり見ないものだったので、驚いた。
恨めしそうな目で、睨まれた。
なんだか、唇もとがって拗ねてる気がする。
「ええっと?」
「……出て行ったのかと思った」
ものすごく疲れた声でそう言われた。それからまた強く抱きしめられて、彼は私の首筋に顔を隠してしまう。
「電話に出ないし」
「あ。お店の中にいたので音消してて」
「トートバッグが無かったし」
「買い物するつもりだったので……財布入ってるし」
「離婚届も入ってるだろう」
「あ」
そこまで聞いて、合点がいった。いやだけど、やっぱりそんなわけないでしょう。
「そんなことできるわけないじゃないですか。勝手に出したら犯罪ですし」