離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
平日夜は、彼はいつも忙しい。プライベートだと言って秘書の私は帰してくれるけれど、大抵は仕事の延長のような付き合いで深夜遅くの帰宅になるのが常だった。
休日もそれぞれで過ごすので、同居していても接触は少ない。そんな中で、たまに時間が合う時にだけ、一緒にお酒を飲むようになった。
それが、私たちの数少ないプライベートでの接触だ。
夕食はサラダとパスタで軽めにして、それからが晩酌タイムだ。リビングのソファに移動して、ローテーブルの上に夕食と一緒に作っておいたおつまみを並べた。
チーズとトマトの盛り合わせにクラッカー、アボカドディップ。ブランデーには甘いものを合わせるのが好きなので、またレーズンバターサンドの残りも追加。
洋酒の時は、いつも彼がグラスにお酒を作ってくれる。彼は氷だけを入れたロックで、私は少しだけ濃いめの水割り。
「今日は、少し濃くないですか?」
グラスを掲げて照明に透かすと、琥珀色がちょっと濃いような気がした。
「そうか? もう少し薄めようか」
「二杯目からで大丈夫です。挑戦してみます」
お酒は好きだが、あまり濃いと酔いが回る。あまり酔うと、この後の楽しみがダメになってしまう。
ほんの少しずつ口に含みながら、私はいそいそとタブレットをテーブルの上に置いた。