離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす

「よし! 久々に勝負ですよ、和也さん!」


 タブレットの画面にあるのは、リバーシというゲームアプリだ。つまりオセロだ。


「ふっ、懲りないな」
「今夜こそは勝ち越しますよ、私、毎晩アプリ相手に練習してるんですから」


 ムキになる私に、和也さんは不敵な笑顔を浮かべる。トンっとリバーシのアイコンをタップすると『ピロリン』と音が鳴ってアプリが起動した。

 晩酌タイム、いつまでも会話が続く時ばかりでもない。不意に沈黙が気になって、お互い微妙な空気になった時に目に入ったのが、和也さんが自宅用で持っていたタブレットだった。
 大画面のそのタブレットを見せてもらうと、ぱっと目に入ったアイコンがゲームアプリのもので。以来、晩酌とこのタブレットはワンセットになっている。

 何せ、このリバーシというゲームに彼はめっぽう強い。最初に対戦した時に、五回やって一度も勝てなかったのだ。
 晩酌の度に挑んで、ぱらぱらと白星を上げるようにはなったものの、やっと一回勝ったと思ったらその後はこてんぱんにやられる。

 総じて、一日の対戦回数で勝ち越したことは一度もない。
 そして、今夜はどうかというと……。

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