離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
「いずみは、こうと決めたら猪突猛進して切り替えのできないタイプだな」
和也さんが、四戦目の対戦結果を眺めながら自分の顎を撫でている。画面上見事に真っ黒で、ところどころに白がぽつぽつ。もちろん、白が私だ。三戦目で勝てたと思ったら四戦目がコレ。
むすっとして唇を尖らせる私を見て彼は苦笑いをした。
「どういう意味ですか」
「単純にひとつあげるとすれば、角を取れそうと思ったらそのことばかりに固執して邪魔されても一点集中する」
ぐう。そのとおりである。そこを諦めて別の戦略を立てる、その引き際が私は遅い。
「五回戦の予定だったが、どうする?」
五回だと、私の負けが決定だ。憎らしいことに、余裕綽々の彼は苦笑いをしながら私の空のグラスを取ると、三杯目の水割りを作ってくれる。
「……七回戦で」
いつもより、やっぱり少し濃い気がする。早めに酔いが回り、頭の中がふわふわとし始めていた。