離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
「俺がちょっと、濃いめに酒を作り過ぎたせいだな。悪かった」
そうすまなそうに言いながら、ダイニングテーブルの椅子を引いてくれた。それに甘えて座らせてもらうと、ヨーグルトのスプーンも持ってきてくれた。
なんだか至れり尽くせりで申し訳ない。
「いえ、美味しかったです。つい進んでしまって……すみません、迷惑をかけませんでしたか?」
どうやって部屋に戻ったのだろうか、それもよく覚えていないのだ。服は、お酒を飲んだ時の部屋着のままだった。
「もしかして運んでくれたりしました?」
ゲームをして、ムキになっていた途中で記憶が途切れがちになって、そこから先はなんだかはっきりしない。映像を切り取った静止画のような記憶がちらちらとあって、それが夢か現かもわからないのだ。
その中に、なぜか優しい、手の記憶があるのだが。
「いや。ちゃんと自分で歩いて部屋にいったよ」
「そうですか、良かった。重いですから運んでいただいたんなら申し訳なくて」
きっとその記憶は、夢の断片だろう。