離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす

 そのついでに、私も二個目の袋煮を注文する。


「俺もひとつ」


 和也さんから追加の声が続いた。


「食べて来たんじゃないんですか?」
「袋煮は別。ここのは絶品だろ」


 確かに。よそで食べる袋煮とは何か違うのだ。野菜たっぷりで美味しい。


「うちのは具が七種類入ってるのよ。縁起かつぎでね」


 おかみさんが袋煮のお椀をふたつこちらに手渡してくれながら、嬉しそうに言った。


「縁起担ぎ?」
「そう。袋も七も縁起がいいでしょ。福袋煮っていうの。いつもありがとうね」


 そう言ってすぐに別のお客さんの対応に向かっていった。嬉しそうだったのは、自信作だからかな。

 またお酒を飲みながら、袋煮に箸を入れる。和也さんと滝沢さんが仕事の話を始めて、こういう時は常に私は聞き役だ。知っておくべきことを耳で拾い、明日からの仕事の予定に組み込みながら、口の中は袋煮を味わう。
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