離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす

 七種類、と言われたからかいつもは数までは気にしていなかった具をひとつひとつ食べながら数えた。
 鳥ひき肉、鶉のたまご、シイタケ、人参、ごぼう、銀杏……。


「あれ?」


 うっかり数えながら食べちゃった?
 それとも隠し味の調味料か何か? いやでも、それは具とは言わないだろう。
 指折りもう一度数えても、ひとつ足りない。悩んでいると、隣から人差し指が視界に入って、袋を指さした。


「これ、七つ目」
「えっ」


 顔を上げれば和也さんが面白そうに私の椀の中を覗き込んでいる。彼が、これ、と示したのは袋になっている薄揚げだ。


「え……この薄揚げが七つ目ってこと?」
「そう」
「え、でも、具が七種類って、えええ」


 でもおかみさんは確かに、袋の中身が、とは言わなかった。
 なんだか納得がいかなくて、おかみさんの方を見ると目が合う。

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