離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
「おかみさん、この袋が七つ目?」
「そうよ。騙された?」
「騙されました! 美味しいからいいですけどー!」
おかみさんはいたずらが成功して満足したような嬉しそうな顔で笑った。
「和也さん知ってたんですか?」
「いつだったか、結構前に聞いた」
「すぐに気づきました?」
「中身を数えて六種類しかなかった時にすぐわかったかな」
「えー」
なんだか悔しい。和也さんを見ればちょっと得意げな顔をしている。ここに来る前も飲んできた様子だったから、少しほろ酔い気分らしい。
「もう、仕事の話を早く進めてください。あんまり遅くなると明日がつらいですよ」
つんと澄ましてそう言えば、和也さんは笑いながら滝沢さんの方へ再び向き直る。
残っていた具を箸で集めて食べて、最後は袋をくるっとまるめてひとくち。薄味だがダシの効いた煮汁がしみ込んでいて、この最後のひとくちが本当に美味しい。
ゆっくりと味わって、残っていたビールを飲みほしてほうっとため息を吐いた。
「はあ……美味しい。今度、家でも作ってみようかな」
何気に呟いたひとことだったが、それをまた、隣で滝沢さんと喋っていたはずの和也さんが拾う。