離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
「希望の駅はあるのか?」
「まだはっきりとは考えてないですけど……戸小坂駅とか。住宅街で雰囲気よさそう」
「今より遠くなる」
「ですけど、乗り換えなしで一本なので便利です」
「治安は良さそうだが、買い物には不便じゃないか?」
そうかなあ、と、考えながら、頭の中で隅にとどめておく。
確かに、今住んでるところよりは不便になるだろうけれど、別に同じ水準を求めているわけではないし。
駅名で検索してみれば、地図か何かで少しはわかるだろうか。家に帰ったら寝る前にでも調べてみよう。
ずっと手元を見ていたら車酔いをしそうになって、顔を上げて窓の外に目をやる。ぼんやりと見ていれば、窓ガラスに隣に座る和也さんの顔が映っていて、こちらを見ていた。
「気になる地域があるなら、一度そこに行って実際に見てみるか?」
「そうですねえ……どちらにせよ不動産屋さんにいけばいくつかマンションを実際に見せてもらえますし」
「それだと、部屋だけの確認で周辺はじっくり見ている余裕もない。次の日曜、少しでかけてみるか」
驚いて振り向き、窓越しでなく直接和也さんを見た。