離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
「えっ、一緒にってことですか?」
そう言うと、和也さんは何か苦笑気味だ。
「そう誘っているつもりだけど」
「え、でも、やっとのお休みをそんな風に使わなくても」
責任をもって探すと言った手前、簡単に決めるわけにはいかないと思っているのだろうけど、いくらなんでもそこまでしてもらうわけにもいかない。
それに、そんな風に出かけたことが、今まで無い。だから余計にだろうか、そんな提案をされたことにとても戸惑ってしまった。
数秒の間があった。目が合ったままの空気が、なぜだかとても面映ゆい気持ちを呼んでくる。
なんだろう、この空気は。
さっきの自分のセリフが、とても可愛げのないものに思えて気になって、なんでそんなことを気にするんだと自分でもわけがわからない。
「別に、一度くらいそんなことがあってもいいだろう」
「え、あ、そうですね。じゃあ、その日もしお疲れじゃなかったら」
彼の言葉に弾かれるようにそう返事をして、なぜかどっと汗を掻いた。和也さんからしたら別に深い意味はなかったのに、変に反応している私がおかしいのだ、きっと。
タクシーが一秒でも早く家に着かないかと、それからはそればかり気になっていた。