離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
 迎えたその週の日曜日。
 本当にいいのかなと思いつつ、いつもより少し早く起きた。とりあえずは外出着ではなく部屋着でリビングに行く。

 和也さんが約束を覚えていたら、午前中のうちには起きてくるだろう。一緒に出掛けるんだし私の為に付き合ってくれるのだから、いつもは各自で勝手にしている朝食くらい作っても罰は当たらない。

 冷蔵庫を開けて、簡単な朝食メニューを考える。歩き回ることになるし、お腹にしっかり腹持ちが良いように和食がいい。

 鍋でダシを取っている間に味噌汁に入れる野菜を切って、昨夜のうちに冷凍室から冷蔵に移しておいた塩鮭の切り身を取り出す。
 グリルで塩鮭を焼いている間にダシの中に小さめに切った豆腐と野菜を切れて、火が通ったらコンロを止め味噌を溶かした。

 ふんわりとダシと味噌の柔らかい匂いを吸い込む。うん、良い匂い。グリルからも塩鮭の焼ける匂いが漂ってきて、ちょうど良い頃合いにリビングのドアが開いた。


「おはよう、今から朝食か」


 和也さんの声に、キッチンのカウンターから私は顔を覗かせる。彼もまだ部屋着で、寝起きで身体がだるいのか軽く腕を上げて伸びをしていた。


「おはようございます。座ってください、もうできますから」


 そう言うと、彼は目を見開く。うん、すっきり目が覚めたようで良かった。

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