暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》
「…………………はぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
ファンの大きな叫び声に、顔を顰める。
「大きな声を出すな。うるさいぞ」
「いやいや…今夜中に国を滅ぼすと言われても、どうやってするんだ!?他国の王族等がいるこの状態で…」
額に手を当て、分かりやすく混乱しているファンに鼻で笑う。
「問題ない」
「はぁ?」
「余と、そして…お前が居れば可能な話だ」
だが、これはどちらかが欠けていては出来ない方法でもあるが。
「簡単な話、今夜パーティーに参加していた奴らを利用する」
「……まさかとは思うが」
ファンは何かを察し、嫌そうな顔をした。
「そのまさかだ」
「見たところ、我が国と同盟を結んでいる国が多く参加しているようだな。丁度、我が国は戦力が足りない…。ならば、同盟のもと、協力してもらえば良いのだ」
どこの国も護衛の為に多くの騎士を引き連れている。
全ての武力を集結させれば、わざわざ帝国へ戻らずとも今夜中に攻め落とす事は可能だ。
とは言え、要請に応じてもらえるかはファンの力量にかかっているが…な。
「今から同盟国へ向けて要請書を書く。お前はそれを持って向かえば良いだけだ」
「お前って本当簡単に言うよなぁ…。交渉するのは大変なんだからな!?」
「こういった言葉巧みに人を丸め込む作業はお前の得意分野だろう?それに、先程俺の命令に従うと言っていたよな?」
「…うっ」
ため息をつきながらも交渉へ向かう支度を始めたファンの傍で、要請書を書き進める。
参加していた同盟国は全て把握しているが、数が多い故に書くのが大変だ。