暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》

流石に帝国内に流れた噂を消す事は難しい。

けど、城内に流れた噂を止めさせる事は出来る。

陛下が私にあの様な事を聞いてきたと言う事は、恐らく城内でも噂になっているという事だ。

ここで働く人間は噂話が大好きだから、違う噂話を流せば前の噂など忘れるに違いない。

…………と言うか、噂を流してるのアイルさんじゃないよね?

もしそうだとしたら、直ちに止めてもらわないと。

陛下の耳にも入っているし、変な疑いを着せられて彼女が罰せられても困るし……。


「その必要はない」

「えっ!?」


その必要はないって…?


「その噂を利用する事にしたのだ。実に良い理由だと思わないか?」


確かに理由としては、しっかりしてると思う。

王の寵愛する女性に危害を加えたが故に、戦争に発展した国だってあるし。

けど、噂を利用するという事は……私が皇帝の愛する女性だと周りに公表するという事だ。

身分からして妃にはなれないし………そうなると皇帝の愛人?

相手が皇帝と言えど、それはちょっと…。


「私は…陛下の愛人になるつもりはありません」


例え命令であっても。


「誰がそなたを愛人にすると言った?」


え…?


「しかし、陛下は噂を利用すると…」

「皇帝の愛する女性…それは利用する。そして、その女性は寵愛を受け、妃となった」


妃…って、え?







「そなたを余の妃とする」

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