暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》
起きた悲劇
*
「アニ様!外にはあまり出ないで下さいね」
「そうですよ。物騒な手紙も届いた事ですし、護衛騎士が増やされたとは言え、油断禁物です」
あれから数日。
私宛てに差出人の分からない手紙が届いた。
『貴女は何者かに命を狙われている』
そこには忠告するような内容が綴られていて、その話は直ぐに陛下の耳に入る事となったのだが、
「流石に多すぎだと思うのだけど…」
どこを見ても騎士が立っている。
仮の妃とは言え、ここまでするなんて。
「ただのイタズラかもしれないでしょう?」
そもそも、お城の中には常に騎士が見回りしている。
あの手紙が事実だったとしても、これだけ騎士がいる中で相手も何かしようとは思わないはず。
「…でも、落ち着くまでは仕方ないわね」
そう言って、取りあえず納得してみる。
「そうですよ!警戒は大事です」
リリアンが出てこれるようになった事が何よりも嬉しくて、
この生活に慣れた私の警戒心は薄れていた。
こんなに騎士がいるのだから大丈夫……と。